この記事では,「労働基準監督官ってなに?」「労働基準監督官の仕事内容・年収・特徴をしりたい・・・」という公務員試験受験生に向けて,必要な情報をまとめたものです.
この記事を読むことで,労働基準監督官の仕事内容や特徴を理解することができ,受験先として労働基準監督官を志望するかどうか判断できるようになります.
▼本記事のテーマ
労働基準監督官のしごとまとめ
▼目次
1.労働基準監督官の仕事内容(監督指導業務・安全衛生関係業務・司法警察業務・労災補償業務)
2.労働基準監督官の試験情報
3.労働基準監督官の年収・給与情報
4.労働基準監督官の特徴
5.労働基準監督官に向いている人について考えてみた(参考)
▼読者へのメッセージ
公務員試験を受験する上で,その受験先は「何の仕事をしているのか」「給料はどの程度もらえるのか」「職場の特徴はどのような雰囲気か」などを知る必要があります.
公務員試験受験者に必要な情報を行政発行の情報・募集要項パンフレット・ネットサイトからまとめました.(受験する際には正式発表の情報や説明会などで実際の職員の方に質問することを推奨します)
受験先を選ぶ上で参考にしてください.
それでは早速見ていきましょう.
1.労働基準監督官の仕事内容(監督指導業務・安全衛生関係業務・司法警察業務・労災補償業務)
「労働基準監督官」はいわゆる「ブラック企業」などの会社を取り締まる「警察」とも呼ばれ,事業主(企業)が労働法に違反していないか調査し,もし法令違反が判明したら,逮捕・送検することができる特別な権利を持つ国家公務員です.
「労働基準監督官」や,「労働基準監督官」が勤務する「労働基準監督署」は,通称「労基(ろうき)」とも呼ばれます.
例えば,管轄する地域内の企業について未払い給料がないか,最低賃金を守っているか,という賃金に関する案件や,過剰な残業はないか,不当解雇はないかなど,適法な労働条件が確保されているかどうか厳しく調査する業務があります.
具体的には以下のような仕事をしています.
・監督指導業務
・安全衛生関係業務
・司法警察業務
・労災補償業務
以下で詳しく説明します.
▼監督指導業務
「労働基準監督官」の監督指導業務は,「臨検監督」という会社への立ち入り調査をし,問題がある場合には行政指導を行う業務です.
「臨検監督」で「労働基準監督官」は予告無しに工場や事務所などの事業所に立ち入る権利があるため,ありのままの企業の状態を見極めることができます.
ただし,実際には予告してから立ち入るケースが多いようです.
立ち入り調査では「労働基準監督官」は会社の帳簿や書類を確認したり,従業員に尋問する権限があります.
事前に内通者がいる場合など.臨検監督の前に不正が疑われる情報を仕入れている場合には,証拠としていかに事業主から正しい情報を引き出すかが問われます.
企業側から虚偽の書類を提示されることもあり,正しい判断と不正を許さない厳しい対応が求められる非常に緊張感のある業務のひとつだと言えます.
また,現場での監督指導業務が無いときには,労働基準監督署や労働局など,所属する署内の窓口や,電話での相談業務も行います.
この相談がきっかけで,立ち入り調査に発展し,最終的には行政指導や労働基準関係法違反による逮捕・送検につながる場合もあるため,働く人の声なき声を地道に,丁寧に聞くという業務も重要です.
▼安全衛生関係業務
「安全衛生関係業務」は,「労災」つまり「労働災害」を無くすために職場の安全管理について監視する業務です.
日本では毎年およそ1,000人もの労働者の方が勤務中に亡くなっているのに加え,重い障害が残る事故も起きています.そういった悲劇が繰り返されぬよう,個別に企業を訪問して安全指導をしたり,実際に起きてしまった労働災害の原因を探る「災害調査」などを担当します.
労働災害防止についての講習会を行うこともあり,様々な方法で働く人の事故を減らそうとする業務です.
▼司法警察業務
「労働基準監督官」は特別司法警察員としての権限が与えられていますが,その権限を最大限に使う業務が「司法警察業務」です.
「司法警察業務」は労働基準法関係法令に違反する重大な事件や,悪質な事件について捜査し,検察官に送致・送付することもあります.
捜査に入る企業の経営者の中には労災を意図的に隠そうとする悪質な被疑者もいるため,確実な証拠を掴み,立件することが,不幸な労働者を減らすことにつながります.一度違反となった企業が,その後指導の下に生まれ変わり,従業員も働きやすいいい企業になるということもあるようです.
▼労災補償業務
「労災補償業務」とは,不幸にも労災が起きてしまったときに,怪我をしてしまった本人や遺族からの労災請求を受けて,補償の手続きをする業務です.
労働災害について保険給付が必要な場合には,勤務中に起きた事故なのか,通勤中に起きた事故なのかによって対応が変わるため,丁寧な原因の調査が必要です.また原因を突き止め,事業所に改善すべきところがある場合には指導を行います.
労働災害が起きてしまった場合には,労働者本人や遺族が労働基準監督署の窓口や電話で,労災請求について「労働基準監督官」に相談します.
「労働基準監督官」が相談を受けるのは,労災請求が初めての経験だという人がほとんどで,かつ困難な状況に陥っている場合がほとんどですので,1件1件,相談者に寄り添い丁寧に説明することが求められる業務です.
2.労働基準監督官の試験情報
労働基準監督官の試験情報について,以下の点でまとめました.
・受験日程(令和元年度)
・試験科目
情報は厚生労働省のHPから引用しています.
https://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/dl/2019_kantokukan_shikenannai.pdf
詳細を以下に示します.
▼受験日程(令和元年度)
第一次試験・・・6月9日(合格発表:7月2日)
第二次試験・・・7月16日から7月18日(最終合格発表:8月20日)
▼試験科目
▽基礎能力試験 (多肢選択式)
公務員として必要な基礎的な能力(知能及び知識)についての筆記試験出題数は40題
知能分野 27題 (文章理解11,判断推理8,数的推理5,資料解釈3) 知識分野 13題 (自然・人文・社会13(時事を含む))
▽専門試験 (多肢選択式 )
48題出題、40題解答
<必須 >12題
労働法7,労働事情(就業構造,労働需給,労働時間・賃金,労使関係)5
<選択>次の36題から28題選択
憲法,行政法,民法,刑法16,経済学,労働経済・社会保障,社会学20
▽専門試験 (記述式)
2題出題,2題解答
労働法1,労働事情(就業構造,労働需給,労働時間・賃金,労使関係)1
▽人物試験
人柄,対人的能力などについての個別面接
▽身体検査
主として胸部疾患(胸部エックス線撮影を含む),血圧,尿,その他一般内科系検査
3.労働基準監督官の年収・給与・初任給
労働基準監督官の年収・平均給与・初任給に関して,平均年収.jpの情報を元にまとめてました.
https://heikinnenshu.jp/komuin/rodokijun.html
▼平均給与
労働基準監督官の平均年収に関しては,一般職の給与に関する法律(http://www.soumu.go.jp/main_content/000093019.pdf)より660万円円となっています.
▼初任給
初任給は大学卒で 182,400円(平成 30 年度)です.大学卒業後で採用前に職歴などがある場合には,一定計算に基づきその期間を経験年数として換算し,それに応じてさらに上位の号俸に格付けされることがあります.
4.労働基準監督官の特徴
労働基準監督官の仕事の特徴について,メリットとデメリットの観点でまとめました.
なお,情報はネット記事による匿名の投稿をもとにしており,情報に信憑性はありません.判断はあくまで個人でお願いいたします.
▼メリット
・仕事は基本的に単独で動くため,過剰なチームワークは不要
・労働者からの感謝の言葉(仕事のやりがい)
・他の職種に比べて庁外業務が多く,人生経験を積んだ人と接する機会が多い
▼デメリット
・給与水準は低め
・会社や労働者と揉めることが日常的
以下に詳細を説明します.
▽仕事は基本的に単独で動くため,過剰なチームワークは不要
仕事内容としては,基本的に個人で動くため,国税専門官のような綿密に連携したチームワークはそこまで必要としません.もちろん,社会人として,全ての仕事を1人でできる訳ではありません.
▽労働者からの感謝の言葉(仕事のやりがい)
近年社会問題になっている,「働き方」について労働者のために働くことがやりがいに感じる職員がいるようです.直接感謝の言葉をもらえることは大きなやりがいです.
▽他の職種に比べて庁外業務が多く,人生経験を積んだ人と接する機会が多い
労働基準監督官は他の職種に比べ,省外で行う業務が多いため,民間企業の社長などの人生経験の豊かな人との関わりが多い仕事です.
そのような方と仕事をして,人として認められるような仕事は大きな達成感を生みます.
▽給与水準は低め
他の職種に比較すると,労基の給料は低い傾向にあります.労力に見合わないと考える職員もいるようです.
▽会社や労働者と揉めることが日常的
企業と労働環境について考えていく中で,揉めることも多いため,穏やかな人には向かない仕事も多くあります.より良い労働環境のために信念を持って働くことのできる職員が求められます.
5.労働基準監督官に向いている人について考えてみた(参考)
労働基準監督官に向いている人を,仕事や特徴から考えてみました.
以下に示します.
・集団行動よりも単独で行動する方が得意な人
・庁内だけでなく,様々な場所に伺う必要があり,多方面に興味を持つような多趣味な人
・自分の信念のもとに,仕事を通じで自分の意思を貫くことのできる人
労働基準監督官は国家公務員の中の専門職であり,他の行政庁とは異なる特徴を多く持っています.
社会問題である「働き方改革」に関する仕事や併願しやすい職種である点などに魅力を感じる方は,受験してみても良いのではないでしょうか.
以上になります.
ご質問等があればご気軽にどうぞ!